修学旅行先の旅館で女子に告白されて・・


もう10年以上前の、中3の修学旅行にて。

男子の2~3人が39℃の発熱、女子の1人が腹痛(盲腸だった)というかなりの危機的状況で、最終日前の旅館は大騒ぎだった。

担任とクラスの仲良い子が看病したり病院についていったり。

そんな中、鬼軍曹と言われていた恐怖の体育教師が1人、浮き足立つ僕等を抑えていた。

僕とK(女子)はその教師の顧問の陸上部の部長をしていた事、またクラス委員だった事もあり、顧問の指示で巡回をする事になった。

『こういう事態だから大人しくしているのは無理だろうが、せめて旅館から出たり、騒いだりしなければ遊んでも可』

という暗黙のお達しを守らせるためであったが。

そんな、深夜の事である。

日が変わる頃だったろうか、顧問より休んでいいとの指示を受けた。

半数くらいは起きていたが、後は定期的に顧問の方が巡回する、と言うのである。

その日一日はとにかく顧問の指示で動き回っていたので、風呂にも入っていなかった。

そこのお風呂は深夜2時までOKで、本当は修学旅行生の入浴時間は決められていたが僕ら2人は特別に今から入っていい、と。

Kと2人、

「やっと休めるね~」

と言いながら浴場に歩いていった。

浴場前に着く。

入り口で男湯女湯に分かれている。

当然のように男湯の方に向かうその時、Kは言った。

「ここに貸切の札あるね」

と。

見ると確かに床に転がっていた。

その辺りの仔細は知らないが、旅館の方に言えば手配してくれるのだろうか。

「これ下げたら、誰も入ってこないかなぁ」

「まぁ、そうなんじゃないか?」

「じゃあ、下げてみよっかな~」

チラッと、Kが僕の顔を見る。

「ね、一緒に入らない?」

…?

Kは何を言っているのだろう…?

理解するまでに1分はかかったと思う。

理解した時には、2人して顔を真っ赤にしたまま固まっていた。

今まで異性として意識すらした事がなかったK。

背が小さくて細身で華奢。

顔も好みとはかけ離れていた。

でも、その微かな身体のラインに、意識せざるを得ない。

1年の頃からずっと好きだった、僕が部長になったから自分もなった、自分の走る姿が格好良かった…等々、Kの胸の内を明かされる。

…と、近づいてくる足音。

咄嗟にKの手を引いて女湯の方に入り、貸切の札を下げる。

何故女湯だったかって、男湯の方は電気が点いてたから。

本当にそれだけの理由。

やましい事を考えるより、Kと話したかった。

掴んだ手には汗がじっとりとついていた。

どれだけ、Kが緊張してたのか。

頭1つくらい違うKを、ギュッと抱き締める。

正直に、僕がKをそんな風に意識した事は無かったと言う。

そんな風に思ってくれてて、嬉しい、とも。

Kは涙ぐんでた。

「やっと、やっと言えた」

って。

初めて見る泣き顔は、とっても綺麗だって思った。

しばらくしてKは落ち着いたようで、僕の心臓がバクバクいってるとか、汗くさーいとか、いつものテンションが戻ってた。

だけど、いつもとはほんのちょっと違う気がする。

僕の胸に顔を埋めたまま、Kは言った。

「一緒に、入ろ?」

…僕は、Kの事を、Kが僕を思ってくれてるほど好きじゃない。

罪悪感。

…今触れてるKの体の柔らかさ。

温もり。

Kの体を見たい。

好奇心。

戸惑う中、Kは

「これから私を好きになってくれたら嬉しいな」

と呟いてた。

それが免罪符となった。

「僕が、Kの服を脱がしてもいいなら」

「えっち!」

「どっちがだよ」

少しの、間。

「いいよ、でも先に私に脱がさせて」

言うが早いか、Kが僕のシャツに手をかけた。

ゆっくりと、シャツを、ズボンを脱がされる。

真っ赤になりながら、Kの手がガチガチになったモノを露わにする。

脈打つそれを見られるのは恥以外なにものでもなかった。

Kの視線が離れない。

それが、余計に勃起を強める。

視線に耐え切れなくて、無言でブラウスに手をかける。

ビクッと、Kの体が強張った。

「脱がす、よ」

コクンと頷くK。

脱がす間、じっと目を閉じて俯いてた。

ブラウス、スカートを脱がすと、上下白の下着だけの姿。

吸い込まれるように、微かな胸に手を伸ばす。

「やっ」

何とも言えない、感触だった。

柔らかいとしか表現出来ない。

白いブラの生地ごと揉んでみる。

Kは目を閉じたまま、首を振る。

声にならない声で、抗議してるように見えた。

手を離して、背中に手を回す。

なかなか外れなかったけど、どうにかホックを外せた。

ツンと尖った桃色の突起。

触りたい衝動を必死に抑えて、ショーツに手をかけた。

しゃがみながら下ろしたから、ちょうど目の前にKのあそこがある。

微かに生えてる毛と、初めて見るスジ。

ちょっぴり汗臭い。

すぐに、パッと手で隠される。

「あんまり見ないでよ…」

「さっき僕のをじいっと見てたくせに」

「見てないよ!そんなジーッとは…」

声のトーンがだんだん下がってく。

「そろそろ、入ろうか」

「うん…」

浴場の中。

よくよく考えると、女湯。

…妙な高揚をしてしまう。

Kは洗い場に腰掛けると

「早く体洗って、入ろうよ」

と言って、さっさと髪を洗い始める。

隣に腰掛けて、自分も頭を洗う。

ジッとしてたらどうしていいか分からなくなりそうで。

頭を洗い終わる頃、背中に感触が。

タオル…スポンジ?

「洗ったげるね」

…えっと、あの、その。

Kの鼻歌が聞こえる。

「楽しそうだな」

「だって、こうやってしてみたかったんだもん」

「あー…じゃぁ、任せる」

「は~い」

クスッと笑うKが別人のように思える。

広い浴場の中、Kが背中を流してくれる音だけが響いてた。

背中から左腕にスポンジは動いていった。

指先まで丁寧に。

右手、そして首。

一瞬手が止まり、微かに息を呑む音がした。

振り返ろうとした瞬間、後ろからギュッKが抱きついてきた。

「前も、洗う、ね」

と掠れた声とともに、スポンジは胸板から腹へと進む。

背中でKの鼓動を直に感じる。

ただ、手の長さの問題で、その下にはこの体勢じゃ届かない。

少し残念で、でも安堵した。

「こっち向いて?」

…甘かった…足をまた丁寧に洗ってくれる。

「凄いな、筋肉でパンパンだよ」

そんな事はないって否定しようと思った、けど、出来なかった。

Kがウットリとした表情で、脹脛(ふくらはぎ)を労るように洗ってくれてるから、言えなかった。

やがてスポンジは太ももまで辿り着く。

滾(たぎ)るモノに、チラチラと視線を感じる。

「あんまし見るなよ」

「そっちだって、見てるじゃない…」

目の前に、生まれたままの女子の姿がある。

目を離せるわけ、ない。

「何か、凄いよ。初めて見るけど、跳ねてる…」

吐息が掛かる。

それだけで、出そうになる。

「ここ、スポンジじゃ、マズいかな…?」

ボソッと呟き、Kはスポンジから泡を絞るように手につけ、両手で包んだ瞬間、僕は達した。

Kの両手に包まれながら、びくんびくん何度も跳ねて。

そのあまりの衝撃に思わず目を閉じていた。

興奮も落ち着いて、目を開けると、Kの胸から一条の白い筋が滴っていた。

そのKの裸体は、未だ脳裏に焼き付いて離れない。

言葉に出来ないほどに、扇情的な姿。

Kは固まっていた。

何が起きたのか分かっていない様子だった。

しばらく瞬きを繰り返して、言った。

「泡?」

「…違うよ」

「えっと、じゃ、コレ、なに?」

指で白い筋を掬いながらKは僕に問う。

その単語を出すのが恥ずかしくて、目を逸らして答えた。

「僕の、精子」

「……え、ええっ?えええぇぇぇっっ!?」

静寂の中、Kの叫びが浴場を駆け巡った。

Kは叫び、顔を真っ赤にし、俯き…百面相のように表情が変わっていった。

僕は快楽の余韻、そして未だ脳裏から離れない扇情的な裸体から目を離せず、ただ呆然とするだけだ。

「え、えっとね、その…」

絞り出すようにKが口を開く。

「気持ちよかった、の?」

頬を赤く染めて、上目遣いでそんな事聞かないでくれ…心底、思った。

案の定、出したばかりのモノはみるみる硬度を増していく。

Kに大きくなっていく。

仮定を一部始終見られている。

この間に耐え切れず、傍らにあったスポンジを手に取ると、綺麗に絞った後、Kに言った。

「次は僕が洗うよ」

ただの勢いだった。

背中から、ゆっくりと擦っていく。

二の腕、華奢だなと思った。

こんな腕で、いつも器具を運んでいたんだ。

もっと体格のいい男子も女子もたくさんいるのに、部長だからっていつも先頭に立って。

…それも、もしかすると僕と一緒に運ぶ時間が欲しかったからなのかな…胸の中で、何かのスイッチが入ったような気がした。

Kを後ろから抱きすくめていた。

慌てるK。

少し腕に力を込めて、言う。

「好きです。好きに、なってきた」

頬を合わせてみる。

…凄く熱い。

掠れた声で、

「ホントに?」

と返ってくる。

「Kが好き。もっと、Kとたくさん話してみたい。Kの事を知りたい!」

お互いの鼓動が痛いくらいにドクンドクンとしていた。

どれくらいの時間が経っていたのか。

Kと僕が同時にくしゃみをするまで、ずっとそのままでいた。

シャワーを手に取り、Kの体を流すと僕はKを持ち上げて湯船に向かう。

予想以上に軽い。

「え、え、え…ちょ、ちょっと!」

抗議に耳を貸さず、ゆっくりとKを湯船に。

そして、自分も入る。

「ビックリした、いきなり…」

「嫌、だった?」

「そうじゃないけど、…」

顔を赤くして、俯く。

そっと近づいて、寄り添ってみる。

頭を撫でる。

Kが体を預けてきた。

目を閉じている。

微かに開いた唇がとてつもなく魅惑的に見えた。

そっと、顔を近づけてキスをした。

Kは驚いたようだったけど、そのまま手を背中に回してきた。

湯船の中で抱えるようにKを抱き締めていると、本当にKが小さい、華奢なんだって思う。

肌も自分とはまるで違う。

撫でるだけで、気持ちいい、気がする。

「当たってる…」

何時の間にか、僕のははちきれそうになっていて、Kのへその下辺りを圧迫していた。

さっき出したばかりなのに。

何となく、気まずい。

しかしKは更にとんでもない事を言ってきた。

「これが、その、入るんだよね」

…何を、どう答えろというんだろう。

頭が混乱しかけていた僕は、かろうじて答えた。

「多分…」

「そういうの汚いってずっと思ってたけど…」

言葉を切るK。

次に言うであろう言葉が、なんとなくだけど、分かった。

数秒の沈黙。

「……くんとだったら、いいかも」

何となく分かってたけど、実際に言われると、どうしようもない自分がいる。

性への好奇心。

倫理。

熱いKの吐息。

痛いくらいビクビクしてる下半身。

温くなっている湯船がヒヤッと冷たいように感じた。

妙に冷静に頭が働きだす。

俯いて体を預けるK。

興奮して今にも押し倒しかけている自分の体。

ふと、Kが微かに震えているような気がした。

「ありがとう」

僕は、そう言葉を発していた。

「僕も、Kとだったら、したいな」

そう言ってギュッと抱き締める。

やっぱり、Kが震えてるように思える。

「でも、まだ早いよね」

Kがえっ?という顔で僕を見る。

おでこに口づけする。

「僕は、もっとKの事を好きになりたい」

しっかり、Kの目を見る。

そうしないと、自分の欲望に負けてしまいそうだったから。

「Kは僕の事をずっと見ててくれた。だから…」

Kの目にうっすらと涙が浮かぶ。

胸が、ぎゅうって締め付けられそうになる。

綺麗。

「僕も、もっとKの事を見ていたいんだ」

「…うん…」

また抱き締めて耳元で、

「ごめんな…」

と呟くと、ぶんぶんと首を振るK。

「何か、嬉しい。こうしてるだけでいいの」

Kの震えはもう止まっている、と思った。

そうして、しばらくして、僕らは風呂を上がった。

脱出の時は相当に緊張したが、無事に出る事が出来た。

部屋に戻る直前に、おやすみ、とキスをしてからお互いの部屋に戻った。

眠れなかった。

今までの部活の事を思い返し、今日一日の目まぐるしく動いた事を、そして風呂場でのKを。

肌の感触、口付けの感触は未だ残っているけど、何よりもKの、ずっと好きだったって言葉が、残ってる。

色んな事が頭を巡る中、窓の外が明るくなりかけている。

学校に帰ったら、Kの志望校を聞いて見よう。

何となく、そう思った。

おしまい。



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