僕の彼女が中年親父のモノにされてしまいました・・


僕には大学時代にゼミで一緒だった、四宮綾香(しのみやあやか)という彼女がいました。綾香は大人しくて恥ずかしがり屋で、ゼミの飲み会とかでもあんまりしゃべらないタイプでした。髪の毛は肩くらいまでの長さで、サラサラの黒ストレート。講義のときだけ小さなメガネをかけていて、それがとても似合っていたのが印象的でした。

 綾香は同年代の女の子の中でも体が小柄なほうで、いかにも高校の図書室にいそうな文学系美少女タイプでした。もちろん大学でも密かに狙っている男はたくさんいたので、大学3年のときに僕たちが付き合ったといううわさが流れると、ゼミやサークルのみんなにはすごくうらやましがられたものです。しばらくのあいだは「もうエッチしたのかよ」「四宮のおっぱいは大きかったか」なんて聞かれまくったりして、僕は相当有頂天になっていました。

とはいえ綾香はものすごく奥手で、初めてエッチをするまで半年ぐらいかかったと思います。友人にもよく聞かれた胸の大きさですが、まあ普通より少し大きいくらい。ただ、脱がせると肌はめちゃくちゃ綺麗だし腰もほっそりとしてるし、おっぱいの形もとてもきれいで、アイドルみたいな体型の子でした。恥ずかしがりなためHはあんまり好きではない様子で、フェラとかも風呂に入った直後でないと絶対にしてくれませんでした。僕は彼女のそういうところには不満がありましたが、「こんなきれいな子が付き合ってくれるんだから」と納得して、おいおいそのあたりは開発していけたらなあなんて考えていました。

 意外なことですが、綾香は大学に入る前から新聞の政治記者を目指していて、大学でもジャーナリズム論とかの講義を沢山取って一生懸命勉強していました。初めての人と話すのも苦手な性格なのに大丈夫かなと僕は思っていましたが、彼女は本気でした。この不況で僕は正直なところひとつも内定が取れず、かといって就職浪人する気合いもなく、なんとなく卒業してフリーターになったのですが、彼女は就職浪人をして勉強を続け、大手新聞社の内定をついに手にしたのです。

 僕らは大学4年生のときにお互いの親を紹介して、卒業後は早い時期に結婚することを約束しており、当時は都内のアパートで同棲中でした。ぼくは彼女より一足先に卒業してしまったので、アルバイトをして彼女の就職活動を支えながら、励まし合って生活していたものです。その甲斐あってのことだったので、内定の連絡が彼女の携帯電話に来たときは、僕も彼女も大泣きして喜び合ったのを覚えています。彼女も夢が叶ったと大はしゃぎでした。毎日アパートで綾香と過ごせて、大学生にしては控えめなHでしたが毎晩彼女を抱くこともできて、あのころは本当に最高に幸せな日々だったといまは思います。

 しかし、綾香との生活は、彼女の就職を機に全く変わってしまいました。

 彼女は政治部への配属を熱望していたのですが、最初に彼女が配属されたのは警察担当、いわゆる「サツ回り」と呼ばれる部署だったのです。心配するぼくに「同期の半分は警察担当になるんだから仕方ないよ」と彼女は力なく笑っていましたが、4月から始まったのは、想像していたようなマスコミらしい華麗な生活とはほど遠い、泥臭い生活だったようです。朝は日が昇る前から警察幹部や捜査員の家に行き、出勤する彼らから少しでも情報を引き出し、昼はいろいろな現場をかけずり回り、夜も警察関係者の家で張り込みをしては、帰ってきたところを捕まえて事件の進行を聞く。いわゆる「夜撃ち朝駈け」の日々が始まりました。

 最初は彼女も気丈に堪えていましたが、数ヶ月たつと、夜おそくに帰ってきては「刑事さんには無視されるし、毎日上司にも怒鳴られる」「同僚も警察官もスパスパ煙草を吸うから、体に臭いが染みついて嫌だ」とアパートで僕に愚痴ったり、小さな体を震わせてしくしく泣いたりするようになりました。

僕もなんとか彼女を支えてあげようと頑張り、週末は気分転換にデートでもしようと誘ったりしたのですが、彼女の持たされた社用携帯には、休日だろうと容赦なく呼び出しがかかります。彼女はそのたび「ごめんね、ごめんね」と何度も僕に謝って、事件現場や警察署へと急行するのでした。

そんな無情な生活が、それから何ヶ月も続きました。夜遅く帰ってくる綾香は体力的にも精神的にも疲れている様子で、以前は毎晩していたHもだんだんと回数が減ってくるようになりました。

 先ほど綾香との生活が「変わってしまった」と書きましたが、本当に彼女が変わってしまったのは、就職して2年目の春を迎えるころでした。僕は相変わらずその日暮らしのフリーター生活を送っていましたが、そのころから彼女は次第に「特ダネ」をつかんでくるようになったのです。

「○○殺人事件、容疑者逮捕へ」「脱税容疑、会社を捜索」といった彼女の記事が紙面を賑わせるようになり、ぼくはとても喜びました。綾香が書いたという大事件の特ダネ記事が紙面を飾ったときは、僕も「すごい、綾香はもう敏腕記者だ!」と興奮して褒めまくったのですが、そのとき彼女はあまり嬉しそうではなく、「うん・・・」と言ってうつむいていました。照れているのかなと思っていましたが、僕はそのとき、全く彼女の様子がおかしいことに気づきませんでした。今思えば、あのときが彼女を僕の元に取り戻せる最後のチャンスだったのかもしれません。

 彼女が記者として優秀になるに従って、もともとずれていた僕たち の生活は本格的にすれちがうようになってしまいました。とにかく、僕が寝るよりあとに彼女は帰り、僕が起きる前に彼女は出掛けるという滅茶苦茶な生活が毎日続くのです。週末も彼女はアパートにおらず、いろんなところをかけずり回っているようでした。2年目の秋ごろには、それに加えて週に2度ほど、「警察での泊まり勤務」といって一晩中帰らない日すら入るようになりました。

 それまで何とか週1度はしていたセックスも、彼女が帰らなくなったころから完全に拒否されるようになりました。久しぶりにアパートに帰ってきた彼女を抱きしめても、「疲れてるから」「生理だから」とすげなく断られ、キスもしてくれずにそのまま寝てしまいます。

Hはできなくてもせめて彼女を抱いて寝ようと思い、彼女の布団にもぐりこんだことがあります。そのとき、昔は清潔なシャンプーのにおいがした彼女の髪から、いまは煙草の臭いが漂うようになっていることに気付いて、とても悲しくなりました。僕も彼女も、煙草は大嫌いでした。なんだか彼女が遠くにいってしまった気がして、胸がずきんと痛みました。

 アパートに寄り付かなくなった彼女に僕が怒って、喧嘩になったこともありました。

「あのさ、仕事が大変なのもわかるけど、もっと早く帰って来れないの?これじゃあ結婚もいつになるかわからないし・・・」

「はあ?結婚できないのはヒロくん(ぼくです)がいつまでもプラプラしてるからでしょ?結婚資金貯めるとか言って、アルバイトもすぐ辞めて。口ばっかりじゃん」

「それはそうだけど・・・でも、こんなにすれ違ってたら結婚なんか・・・」

「あたしは一生懸命仕事してるもん。警察担当で沢山特ダネ取ったら、次はなりたかった政治担当になれるかもしれないし。ヒロくんは帰ってきて欲しいっていうけど、あたしとHしたいだけじゃないの?」

「そ、それもあるけど、だって」

「最低。自分は働かないし、朝も寝てばっかりだし。・・・あたし、明日早いからもう寝るね。朝から記者会見2本入ってるから」

 こんな調子でした。ベッドに横になろうとする彼女の肩に手をかけようとしましたが、冷たく振り払われ、とてもショックでした。大人しい彼女がこんなふうに僕をけなすことはそれまでありませんでしたが、彼女の言うことももっともだと思い、そのときはぐっと我慢して自分を納得させました。僕には綾香のような激務の生活は絶対に無理でしたから。

 綾香とはそれからしばらくして仲直りし、一度アパートでHもしましたが、彼女はそのあいだずっと「心ここにあらず」といった様子でした。ぼくが5分ほどピストンして射精すると、

「・・・え?もう終わったの?」

 と意外そうに呟かれて、すごく恥ずかしくなりました。僕が乳首を愛撫しても、あそこに挿入しても、彼女はぴくりとも感じてくれず、ただ一生懸命腰を振る僕を見つめて、困ったような表情を浮かべていました。射精してしぼんだ僕のペニスを見る彼女の視線も、どこか見下しているように感じてしまったのを覚えています。

正直あまり自分の下半身に自信が無かったぼくは、どうしても恥ずかしさが先に立ってしまい、それを最後に彼女と体を重ねることはなくなりました。体が離れると、心も離れてしまうのでしょうか。ときおり僕に笑顔をかけてくれることもありましたが、綾香とキスをしたり手をつないだりすることも、そのころからほとんどなくなってしまいました。

 でもそれから数日がたって、彼女のバッグに「あるもの」が入っているのを見つけて、僕は愕然とすることになります。今から思えば、それが初めて彼女の浮気を疑うことになったきっかけの日でした。

 綾香から珍しくアパートに電話があり、確か「家に忘れたバッグの中から手帳を持って来てほしい」ということづてがあったのだと覚えています。「綾香が仕事道具を忘れるなんて珍しいな」と思いながらバッグの中を調べていると、何かの拍子にころりと小さなピンク色のポーチが落ちてきました。僕がそれを開けたのには、特に理由はありませんでした。本当に何の気なしに、です。ポーチのジッパーを開け、逆さに振って中から落ちてきたモノを見て、僕は言葉をなくしました。

 ポーチからばさばさと出てきたのは、なんと大量の「コンドームの束」だったのです。

 5枚綴りになっているそれには、何枚かすでに使用した形跡もありました。僕は必死に記憶を検索しましたが、僕が彼女と最後にセックスしたのは半年近く前でしたし、昔から彼女は恥ずかしがって、決して自分でコンドームを買うことはありませんでした。これは、僕に隠れて彼女が他の誰かとセックスしているということなのかと、僕は愕然として、がたがたとしばらく震えていました。「浮気」、「不貞行為」、「婚約破棄」、そんな言葉ばかりが頭を駆け巡って、心臓がどきどきして、倒れそうになりました。

 それから数日、僕は「綾香が誰かと浮気しているのではないか」と、一人でぐるぐる考え続けました。同僚だろうか、それとも仕事相手だろうか。大学の仲間がちょっかいを出したのかもしれない。疑いはどんどんと募りましたが、ぼくは誰にも相談できず悶々としていました。浮気された人たちの体験談をネットで読んだりもしましたが、けっきょく3日かけて僕がたどり着いたのは、「彼女の携帯を盗み見て、浮気をしていないか調べる」という月並みな結論でした。

 しばらく何も知らない顔をして機会を伺っていましたが、ある日ようやくチャンスがめぐってきました。彼女がいつもより早めに帰ってきて、そのままぐっすりと寝入ってくれたのです。普段彼女は、仕事用の携帯がいつ鳴っても起きられるよう手にしっかりとにぎって寝る(!)のですが、その日は疲れていたのか、テーブルの上に置きっぱなしになっていました。しめたとばかりに手に取ったのですが、残念ながらその携帯には他人には操作ができないよう、4けたのナンバーロックがかかっていました。メール画面どころか、最初のメニュー画面や壁紙画面にすらいかないよう、灰色の画面が表示されているのです。

「1234」や「0000」、僕の誕生日「0415」、綾香の誕生日「1224」(彼女はクリスマスイブ生まれでした)などを試してみましたが、いっこうに解除される様子がありません。覚悟を決めて、「0000」から一つ一つ番号を試していくことにしました。息を潜めてキーを押していきます。綾香が起きないかヒヤヒヤしながら、100を過ぎ、200を過ぎ・・・。時計の秒針がカチカチと鳴る中、「0214」と入力したとき、ついに画面に「ロック解除」の文字が表示されました。2月14日。バレンタインデーでしょうか。心当たりはありませんでしたが、とにかくこれで、この携帯を操作することができます。ぼくは意気揚々と「クリア」のボタンを押しました。思えば、まさにこのときが、僕の幸せが粉砕されたときだったのです。

「・・・えッ!!」

 ぼくは何の前置きもなく「パッ」と現れた画面を見て、言葉を失いました。ぼくの世界が、崩壊した瞬間でした。

 携帯のディスプレイには、僕の可愛い婚約者がゆがんだ笑顔で写っていました。その小さな口いっぱいに、誰かの極太ペニスを喉の奥までくわえ込んで。

 綾香がカメラ目線でべろべろと舌を回して知らない男のザーメンをすすっているその写真を見て、僕はがらがらと何かが崩れる音を聞いた気がしていました。



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