好きだったボーカルの子をメンバーに寝取られた


青春時代は終わったから書いてみよう。

数年前の話。
友達(アキラ)と俺(マサシ)は、『ゆず』のような2人組アーティストに憧れて素人音楽活動をしていた。
住まいは地方で、アキラの家に大きな小屋があり、その2階が練習部屋。
周りに家も少ない所だったから、ギターガンガン、歌声ガンガンで頑張っていた。
ギターは少しずつ上達するアキラと俺。
が・・・2人とも歌が上手くないことに気づく。
どんなに頑張っても、何度声を潰しても高い声が出ない。
音をハズすと全くダメだった。

「路上ライブで女の子にモテて、口コミでスカウト来て」

・・・なんて夢を練習の時によく語ったが、俺達じゃ無理だなと諦めてた時だった。

アキラが勝手に共通の女友達のユカにメインボーカルを依頼した。
ユカは確かにカラオケで歌ウマと評判だったが、俺は嬉しさ半分、嫌さ半分。
なぜなら俺はユカに惚れていたから。
アキラはその時、きちんと彼女が居た。
ただ遠距離で、「もう別れなきゃ」と毎回言ってたので、(アキラもユカ狙い?)と焦りを感じたのだ。

しかし、ユカが来てからの活動は充実した。
歌が上手い、ギターに関する指摘も素人ながら的確。
活動当初のデモテープが悲鳴や叫び声なら、ユカが入ったあとは水のせせらぎのような聞きやすさ。
路上に行けると話し、路上デビュー。

街中で深夜に歌ってみたが誰も聴いてくれない。
だが回数を重ねると少しずつ聴いてくれる人が増えた。
話しかけてくれる人も増えた。
ギターケースの上に5円とか10円を置いて行く酔っ払いも増えた。
俺はますますユカを好きになった。

ただ気になる存在はアキラだった。
アキラは遠距離の彼女と正式に別れた。
ユカも俺も知ってた。
と言うより、路上が終わったあと、アキラの家の練習部屋で慰めると言い、朝まで飲んだ。
その時、アキラはふざけてたのかよく分からんが、「酒で慰めるんじゃなくて、ユカの体で慰めてよ」とか言ってた。
ユカは受け流す感じで対応してたが・・・。
気づいたらアキラは寝ていた。
で、ユカと2人で語る。
ユカにも彼氏は居ないというのを本人から聞けて安心した。

「今はボーカルが楽しくて、彼氏が居なくても全然気にならない」と、ユカは言った。

俺が「アキラはユカが好きで、『体で慰めて』とか言ったのかな?」とか言うと、「グループに恋愛を持ち込んだらダメだよ。絶対、仲が悪くなって、いいのが出来なくなると思う」と言った。

同感だった。

(俺だってユカを好きでたまらないのに、このグループも好きだから、崩壊させたくないから、告白してないんだよ)と心の中で思った。

そんな感じで2、3ヶ月が過ぎた。
路上ではユカ見たさっぽい男の見物人も増えた。
が、当然、スカウトなんかは来なかった。
俺も上達の限界がわかってた。
そんな気分だったから、音楽に集中しなくなってた時に気づいたんだ。
ユカとアキラの仲が以前より親密になってる・・・って。
何気ない仕草、行動で・・・。
ユカは今まで分け隔てなくやってたと思ってたが・・・。
本当に細かい所なんだ。
練習する時、よくユカが飲み物とか買ってくるんだが、アキラのタバコを一緒に買って来る。
で、よく見てるとアキラは最後の1本を吸い、ユカが買ってきたタバコを次に吸う。
まるで、アキラのタバコが切れることを知ってたかのようなタイミング。
俺の頭は(???)だった。
モヤモヤが取れない。

だって・・・ユカ、言ったよな、「俺達と恋愛はダメだ」って!
だから俺、気持ちを押し殺してんだぞ。

だが、その真相はすぐに判明する。
路上終わり、明日は休みだからって3人で飲んだで寝たんだが・・・。

「ダメ・・・マサシに聞こえるって」

「ん?キスだけだよ」

ピチャピチャ・・・。

「も、もっと・・・」

確かに聞こえるアキラとユカの声。
間違いなく、キスしてる。

「こういうのも興奮するし、スリルあるな・・・」

「ダメだよぉ、マサシにバレたら、もう3人で歌えないよぉ」

ピチャンッ。

「じゃあ、やめる?」

「ん?だってぇアキラの凄いじゃん・・・こんなになって・・・相変わらず悪いおチンチン」

「そう?凶暴だからさ、ユカが慰めてよ」

チュ・・・ジュ・・・。

卑猥な音。
間違いない・・・フェラしてる。
しかも・・・初めてじゃない・・・。
心が打ち砕かれた。

「ユカ、上手くなってきたよ・・・それともマサシがいるから張り切ってるの?」

「ん、ん・・・」

口からチンポを離さず夢中になってるのか?

「あ、出る、いいか、出すぞ」

(少しは俺に気を遣えよ!)ってくらいの大きな声で。

「ユカも我慢出来ないだろ?入れよう」

「ダメだよぉ、私、絶対に声を我慢出来ないもん。マサシが起きちゃうから我慢する」

もうね、涙が自然と出たよ。
それに今後2人と、どう接していいか判らなかった。
朝起きたらアキラとユカは別々に寝てた。

(昨日のは夢か?)と少し期待したが、ゴミ箱を見たらティッシュが沢山ある。

俺は溜め息をついて、紙に『先帰る』とだけ書いて帰宅した。



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